中国では国土の3分の1が酸性雨に侵され、主要水系の5分の2が飲用不能。3億人の農村人口が安全な水を飲めず、4億人の都市人口が汚染された空気を吸っている。このままでは15年後に中国の環境負荷は6倍になるという。さらに周辺国や地球全体の環境も脅かしている。こうした状況下で、いま日本の優れた環境技術やシステムは国際貢献や国際競争力の切り札となっている。こうした中で、観光や経済という視点から中国の環境問題に取り組む静岡のNPO法人「日中環境経済中心」の活動を会員の立場から紹介したい。
静岡県と友好提携する中国浙江省の水郷「烏鎮(うーちん)」が、いま脚光をあびている。約1キロの水路沿いに宋・明代の建物が並ぶ東大街を整備、年間1千万人以上を呼ぶ観光スポットに甦ったのだ。さらに烏鎮政府は同地区の国連世界遺産登録をめざし水環境の改善に乗り出した。白羽の矢が立ったのが静岡のNPO「日中環境経済センター」である。
烏鎮は千年の歴史を持つ水郷だ。隋代に開通した北京と杭州を結ぶ京杭大運河が町を流れ、水路が網の目のように張り巡らされている。とくに水路両岸に昔のままの酒蔵、型染め工房、郷土料店などが並ぶ東大街は、80%以上が宋・明代から残る建物だ。1999年5月から東大街の保護整備事業がスタート。2億元の資金を投入し、水路整備、公衆トイレの修築、街路灯の設置などが完了し、人気の観光スポットとなった
経済効果も大きく、烏鎮政府は世界文化遺産登録に名乗りをあげ、ユネスコの調査チームを招くなど観光振興策を積極的に推進中だ。こうした中、緊急課題となっているのが水の浄化だ。これを打開するために烏鎮政府は静岡のNPO日中環境経済センター(八木敏郎・細美和彦・平井一之代表理事)に現地調査を依頼。同センターは水郷水浄化プロジェクトを組織して、2005年9月に会員を現地へ派遣した。メンバー5名が水量、水質、堆積物等の調査を実施。その結果水の汚れが主に生活雑排水と食物の残渣物によることを突き止め、翌2006年2月に水浄化プランの提案となった。
提案の当日、杭州市のホテルを出発した私たち7名のNPOメンバーは、京杭大運河を渡り目指す烏鎮東大街に到着。水路と街路を一巡した一行は、同地区を管理する烏鎮観光振興会社の一室へ招かれた。迎えた同社福総経理の姚浩氏と陳瑜氏らに対して、さっそくプレゼンテーションが始まった。最初に挨拶に立った八木代表理事が「たんに水浄化の技術提案だけでなく、持続可能な烏鎮のまちづくりを踏まえたプランの提案をしたい」という趣旨説明に烏鎮側は大きく頷く。
つづいてプレゼンテーターの説明に入る。「環境と経済が共生する烏鎮の創造のために、私たちは水路上に烏鎮のランドマークタワー建てることを提案します」主要水質浄化施設である散水濾床式浄化システムを塔型に構築、観光と環境のシンボルとしても活かすユニークなものである。併せて水生植物を繁殖させリンや窒素を吸収させる。自然の浄化機能と機械技術が補完しあう方式だ。また現地に豊富に自生する竹材とその加工技術を活かしてコストダウンを図る。工学的な手法の導入で生態系をコントロールし自然水域より効率的に水質浄化を図る。微生物と水生生物が自然に備えた浄化機能を活用しメンテナンスを容易にする。コストパフォーマンス、シンプルな機能、メンテナンスが簡単という中国の環境技術ニーズに対応する配慮だ。この提案は担当者レベルで高い評価を得て、いま烏鎮政府が最後の検討をしている。提案の詳細内容は日中環境経済センターのホームページで公開されている。
NPO法人『日中環境経済中心』の設立代表者の八木敏郎、細美和彦両氏は、このNPO法人の意味と役割を、次のように語る。
「中国の環境問題は日本の環境問題であり地球規模の環境問題でもあるとの考え方から、日本の企業が単に中国を膨張型経済の発展市場として捉えることなく、中国社会が経済と環境との二軸構造に向かうべく何らかの役割を果たして行きたい」と。
http://www.xitong.net/jceco/

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昭和19年(1944)浜松市鴨江町に生まれる。
浜松北高校を経て、昭和44年(1969)南山大学文学部人類学科卒業。広告制作プロダクション、業界紙、出版社、広告代理店勤務の後、昭和51年(1976)フリーランスのコピーライターとなる。昭和53年(1978)アントロポス大野拓夫事務所を設立し、現在に至る。事務所業務の他にルポルタージュ、コラム、エッセイ等にも携わっている。





















